はじめに
当事務所が、ホームページで高次脳機能障害で泣き寝入りしない10の鉄則を掲載してから早いもので5年以上が経過しました。その間、各種の勉強会等で得た情報をその都度追補するという方法で、できる限り最新情報が提供できるように努力してきました。ところが、新情報があまりにも多種多彩であることもあって、追補の方法では限界に達しました。そこで、この度、全訂版を掲載することにしました。この全訂版は、当事務所が継続的に参加している勉強会やスポットで開催される各種研修会の場で、現役の医療従事者から直接得た貴重な情報がベースになっています。
- 山口クリニック院長・山口研一郎先生
- 湖南病院名誉院長・石橋徹先生
- 滋賀県立リハビリテーションセンター部長・加藤寿一先生
- 京都大学医学研究科脳病態生理学(精神医学)教室・上田敬太先生
- 東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座講師・橋本圭司先生
- 青山学院大学非常勤講師(臨床心理士)・中野光子先生
- 鉄則
1 - 交通事故被害で泣き寝入りしない7つの鉄則の遵守
- 鉄則
2 - 自動車事故の場合は、加害車両と被害車両の損傷状況の写真を確保
- 鉄則
3 - 「何か変だ」「以前と様子が違う」と感じたら日から、症状やエピソードを克明に逐一メモしておき、その具体的症状経過について時系列表を作成
- 鉄則
4 - 主治医に3の時系列表を交付して情報提供し、カルテに綴じてもらう
- 鉄則
5 - 職場の上司や同僚の陳述書、セラピストの報告書、作業所の指導員の報告書等を作成
- 鉄則
6 - 3の時系列表とは別個に陳述書を記載し、その陳述書と5の陳述書を自賠責保険に提出する日常生活状況報告書の別紙として添付
- 鉄則
7 - 主治医が自賠責保険に提出する「神経系統の障害に関する医学的所見」を記載する前に、6の日常生活状況報告表を交付して主治医に情報提供
- 鉄則
8 - CTやMRIで脳の損傷が判然としない場合は、最低でも脳神経損傷の神経学的所見、神経心理学的検査所見、出来ればSPECTかPET、さらに理想を言えば脳拡散テンソルMRI所見を得ておく。
- 鉄則
9 - 主治医が画像だけで判断するタイプの場合は、高次脳機能障害自立支援普及事業・地域ネットワークに所属している医療機関に転院し、各種神経心理学的テストを受け認知機能のスクリーニングをする。
- 鉄則
10 - 認知リハビリは可能な限り継続する。