解決実績

脊柱管狭窄の素因ある頸椎捻挫(自賠責14級認定)で画期的な解決が出来ました(静岡地裁・沼津支部:平成18年9月25日)

頸椎捻挫(脊柱管狭窄の素因あり) 14級9号

加害者側主張金額 534万7065円
UPした金額 876万9660円
解決した金額 1411万6725円

UP率2.6

解決タイプ
静岡地方裁判所 (沼津支部)
属性
自営業(42)
等級主な傷病
頸椎捻挫(脊柱管狭窄の素因あり) 14級9号
争点
素因競合減額
カテゴリ
脳・脊髄その他の神経症状

事案の概要

平成16年6月、当時43歳の男性(美容院経営)が追突事故に遭い、頸椎捻挫となり、通院期間9か月後に症状固定となり、自賠責保険から頸椎捻挫で後遺障害等級14級の認定を受けました。

 

被害者は美容師で、自らカットも担当していたところ、頸椎捻挫による利き腕のシビレ等でカット業務が出来なくなった結果、お得意さんの店離れが生じ、売上は激減しました。また、単なる頸椎捻挫であれば受傷後3か月程度で治癒するか軽快するのが通常ですが、被害者は事故前から頸椎の変性で脊柱管が狭窄していたことから、シビレが一向に治まらず、ついにはシビレは足にまで達するに至りました。その結果、2店舗経営していた美容院の1店舗を従業員に身売りするなど深刻な経済状態に陥りました。

 

解決の内容

そこで、当事務所は、被害者の病態と経済的窮状を訴え、自賠責保険の14級の認定を無視して、労働能力喪失割合と後遺障害慰謝料は、9級相当及び素因減額2割相当の主張立証をしました。

 

その結果、裁判所から以下の内容の和解案が呈示され、そのとおり解決出来ました。

 

  1. 労働能力喪失率は10%(自賠では5%、加害者の主張も5%)
  2. 労働能力喪失期間は67歳まで24年間(加害者主張は不明)
  3. 後遺障害慰謝料は200万円

 

解決内容の画期性

裁判所が自賠責保険の追認機関と化してしまっている傾向にあることは、随所で指摘されていることです。従いまして、本件のように自賠責保険が頸椎捻挫で14級の認定をしたときは、裁判所も

 

  1. 労働能力喪失率は、自賠認定のとおり5%
  2. 労働能力喪失期間は、3年〜5年程度
  3. 後遺障害慰謝料は14級を前提に110万円

 

と認定するのが大半です。

 

ところが、本件では裁判所から前記のとおり

 

  1. 労働能力喪失率は、10%
  2. 労働能力喪失期間は、67歳までの24年間
  3. 後遺障害慰謝料は200万円

 

とする和解案が呈示され、そのとおり解決出来ました。

 

また、自賠責保険で後遺障害14級と認定されたときは、裁判所の損害認定額は通常300万円から400万円前後、大きくとも600万円を超えることはまずありません。ところが本件では、裁判所が認定した損害額は、素因減額35%の減額措置をしたにもかからず、1411万円(認定総損害額は2087万円)を超えていました

 

これは、実質的に後遺障害11級相当の認定がなされたのと同様の結果になっています。このように、本件では賠償認定額も極めて高額になっているという点で画期的な内容になっています。

 

勝因

特に秘策を弄したわけではありません。

 

自賠責保険の認定に振り回されることなく、労働能力喪失割合認定の基本、すなわち、被害者の職業、年齢、性別、後遺症の部位、程度、特に病態の内容、事故前後の稼働状況等の全てについて、丁寧に主張と立証をしたことに尽きます。