追突事故のあと、めまいがして物が二重に見えだしました。何科を受診すればいいのでしょうか? |
『とりあえず神経内科』です。眼科ではありません。 |
追突事故で、目眩(めまい)がして物が二重に見える場合、追突事故だから整形外科、目眩は脳神経科で、物が2重に見える点では眼科と、3つを受診しなければいけないのかとも思えます。
また、追突事故で、吐き気や目眩、難聴を覚えたとき、追突だから整形外科、目眩だから脳神経科、難聴だから耳鼻咽喉科、吐き気だから内科、と色々迷われるかも知れません。それらを全部受診して全ての科目で「異常なし、気のせいでは?」なんて言われたら、精神神経科? それとも心療内科? とにかくややこしいところですので、基本的な整理をしておきます。
ア |
精神症状(心の病) | 精神科(精神神経科) |
但し、動悸や腹痛などのストレス症状があるときは | 心療内科 | |
イ |
神経症状なら | 神経内科 |
但し、神経症状の原因が関節の変形や炎症、脱臼など体格的(解剖学的)障害にあることが当初から明らかなとき | 整形外科 | |
また、外科的措置を要するときで、その部位が、 | ||
脳なら | 脳神経外科 | |
四肢、肩、背骨、腰、関節等の体格なら、 | 整形外科 | |
ウ |
目眩、耳鳴り、難聴、声かすれ、嚥下障害の症状があり、その原因が | |
鼓膜異常などの生理的(解剖学的)障害なら | 耳鼻咽喉科 | |
脳神経や聴覚神経なら | 脳神経外科または神経内科 | |
エ |
視力障害の症状がある場合で、その原因が、 | |
眼球異常などの生理的(解剖学的)障害なら | 眼科 | |
視神経などの神経に異常があるときは | 脳神経外科または神経内科 |
以上のように整理すると、『追突事故の後、めまいがして物が二重に見える』というケースでは、候補として出てくるのは、整形外科、脳神経外科、神経内科、眼科です。そのうち、整形外科では、物が2重に見える病因が判明できませんから候補からはずれます。
次に、追突事故で脳損傷が生じることは少なく、たとえ脳損傷があったとしても、事故後間もない時点でまともに診てくれる医師がおらず、また特別の治療をしなくとも9割方の人が最長でも半年程度で自然治癒するとされています(詳細は軽度脳外傷による高次脳機能障害)。よって脳神経外科も候補からはずれます。残ったのは、神経内科か眼科です。追突事故による衝撃で眼球の運動機能それ事態が生理的に損傷するというケースは稀であること、目眩(めまい)という神経症状は眼科では対応出来ず、神経内科の領域であること、以上から、答えは、神経内科となります。
『とりあえず』としたは、神経学的異常所見のない場合は、運動機能が障害を受けてることが疑われているからです。その運動機能の障害すら所見されなかったときで、かつ症状が頑固に継続するときは、器質的損傷を伴わない症状として、心療内科心療内科の受診となります。
逆に、半年以上経過しても症状が改善しないどころか、かえって嚥下障害とか排尿障害とか他の症状が顕現し増悪しだしたときは、脳の器質的損傷の疑いがあることから脳神経外科の受診となります(詳細は軽度脳外傷による高次脳機能障害)。