第3 東洋医学と西洋医学のメリット・デメリット
1 西洋医学のメリット(東洋医学のデメリット)
西洋医学の最大のメリットは、なんと言っても救急医療における外科的措置です。
交通事故による心停止、出血多量、各種臓器を損傷した外傷患者の場合、
- 心停止に対しては、単相式除細動器による正常な刺激伝導の再開
- 出血多量に対しては、輸血、輸液、血栓に対しては、冠動脈に対しバルーンを挿入し血管を拡張
- 各種臓器の損傷に対しては麻酔下での観血的オペによる整復措置
がそれぞれとられます。
これに対し、東洋医学は何もできません。「そもそも体質改善を・・」とか「免疫力を高めて・・・」とかの場面ではありません。呆然と見ているほかありません。
西洋医学が日本で普及し始めたのは明治維新以降でした。それまでの日本は、東洋医学や民間療法しか知りませんでした (蘭学医療はほとんど普及していません)。明治維新以降、平和であった日本は戦争による外科的治療を要する患者が増えましたが、当時の医療技術であって も、カメラや蒸気機関車などの数々の科学文明機器と相まって、日本人に、『西洋医学は神業』だと思わせるには十分だったでしょう。結局、西洋医学は日本に 急速に普及することとなり、西洋医学万能(の迷信)が日本中を席捲し、国の積極的なバックアップを受けて私立大学医学部の乱立の時代が到来します。これに 対し東洋医学の治療効果に対する科学的検証も、目ぼしい制度補償もなされず、国からも基本的には見捨てられてきました。東洋医学冬の時代の到来です。
2 東洋医学のメリット(西洋医学のデメリット)
しかし、その後、西洋医学にも弱点はあり、弊害があることが、西洋医学の発祥の地である欧州で率直に認められ、日本でも徐々にですが、わかってきました。
(1)まず、西洋医学では慢性の自律神経症やその他の疼痛にかかる神経症状を治せない、東洋医学的治療でないと治せないと、統合医療を目指しておられる整形外科医、脳神経外科医、神経内科医の多数の医師によって明言されるようになりました。統合医療を目指しておられない神経内科が専門の元聖マリアンナ医科大学助教授の米山公啓医師も、慢性の神経痛などは西洋医学では治せないことを明言されておられます。
(2)また、椎間板ヘルニアで、レーザー治療等のオペ適応がない患者さんに対する疼痛を除去し根治させる療法は整形外科にはない、骨盤の矯正という東洋医学的措置でないと根治できないことを、徳島大学医学部の石塚寛教授が示唆されておられます。
(3)さらに、血液内科が専門の人参ジュース断食で高名な石原結實医師は、高血圧、喘息、糖尿病、慢性肝炎、アトピー性皮膚炎等その他数多くの慢性疾患は西洋医学では治せない、東洋医学的治療によらないと改善は見込めない、と数多くの著書で明言されておられます(ちなみに、皮膚科は『三無い科』すなわち「わからない」「なおらない」「死なない」科と自嘲されているようです)。
このことは、統合医療を目指しておられる内科、皮膚科の多数の医師も明言され、その解説書もごくわずかですが出回り始めました。
治せないのに止まらず、抗ガン剤の服用による嘔吐、脱毛、等の激しい副作用、生命体が本来有している免疫力の低下作用、ひいては第3セフィム抗生剤の乱用 による難治性のMRSAの院内感染等の社会問題を惹起し、西洋医学の治療によってかえって新たな病原菌と病気を製造していると指摘されていることについて はご存じの方も多いかと思います。
3 まとめ
このように西洋医学と東洋医学は、それぞれメリットとデメリットがあり、それぞれ単独では病気を完全に克服することは不可能です。
そこで、それぞれメリットを生かしデメリットを克服する西洋医学とその他の代替医療(その大半は東洋医学)を統合する統合医療が、西洋医学の母国である欧米を中心とする世界の趨勢となりました。