後遺障害

交通事故のケースでも健康保険で治療を

未だに、交通事故では健康保険や労災保険を利用出来ないと誤解され、保険を利用しなかったことで不利益な取り扱いを受けている交通事故の被害者の方が多いことには驚かされます。

 

国公立病院系ではまずありませんが、私立病院、とりわけ経営の思わしくない中小規模の私立病院では「交通事故では健康保険が利用できません」という真っ赤な嘘を平気で言ってる所があることには驚かされます。その結果なのでしょうか、交通事故による傷害では健康保険や労災保険を利用しない自由診療による治療が9割近くを占めているとの報告があります。

私立病院の一部がそのような真っ赤な嘘をつくのは、自由診療とした場合は、診療単価が健康保険や労災保険を利用して診療した場合の約2倍と高額となって、病院が儲かるからです。

 

しかし、交通事故によって受傷した場合でも健康保険による診療を受けることは可能です。厚生労働省も 国民健康保険課長通知で繰り返し交通事故の場合でも健康保険による診療を行えることを公表しています。

 

たしかに、交通事故の被害者が健康保険を利用するか、利用しないで自由診療とするかは自由です。しかし、保険を利用して治療した方が遥かに有利です。
以下、理由を述べます。

 

保険を利用した方が有利な理由 1

被害者にも過失があり、過失割合減額されるケース(大半の交通事故では、被害者側にも何らかの落ち度があって、過失割合減額され、その結果自己負担額が生じます。)においては、以下の例のとおり、保険を利用したか否かで賠償額に大きな差異が生じることになります。

 

治療費が100万円で、被害者の過失割合が2割だったケースで被害者が治療費の自己負担を強いられる額

  1. 保険を利用したケース
    自己負担額=100万円(治療費)×3割(7割保険)×2割(過失割合)=6万円
  2. 保険を利用しなかったケース
    自己負担額=100万円(治療費)×2割(過失割合)=20万円

 

この例では、保険を利用したか否かによって自己負担額に14万円の差異が生じます。

 

保険を利用した方が有利な理由 2

自賠責保険の傷害部分の限度額は120万円であり、この金額の枠内で治療費、慰謝料、休業損害等を支払うことになるのですが、保険を利用しなかった結果、治療費が高額となり120万円を超えたときは、被害者に慰謝料も休業損害も支払えないことになります。
よって、治療費が高額になった場合、自賠責保険の傷害保険金の大半、場合によっては全額が治療費に充当されてしまい、慰謝料や休業損害分を自賠責保険から受け取ることができなくなります

 

保険を利用した方が有利な理由 3

交通事故では健康保険は利用出来ないという嘘をつく病院は、大抵の場合、過剰・濃厚診療を行い、不当に高額な治療費の請求を行っています。その結果、裁判で治療の必要性及び医療費の相当額が争われ、被害者に一部自己負担を強いられることがあります。そうなると被害者はたまったものではありません。
しかも、交通事故では健康保険が利用できないという嘘をつく病院では、まともな治療は期待出来ません患者が胃痛で苦しもうが不必要に高額な薬を出し続けて診療報酬を稼ぎます。自由診療から健康保険への切り換えを要求しようものなら露骨に顔を顰めて、途端に治療を中止するか、そこそこで症状固定として患者を放り出そうとします。お気をつけ下さい。

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