第2 自賠責保険や労災保険の後遺障害の具体的認定基準
第1で述べたような精神症状が見られるときは、
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4段階の評価(A:できる、B:時に助言・援助が必要、C:しばしば助言・援助が必要、D:できない)を行い、さらに |
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非器質性精神障害の特質を踏まえた綜合を判断(←この判断が曲者であることについては後述します)をして |
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以下のとおり、14級、12級、9級、の認定をします(労災については7級以上の等級も設定されています) |
第9級 |
通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、就労可能な職種が相当な程度に制限されるもの
例)就労可能だが、大幅な職種変更が必要な場合(対人業務不能とか、運転業務不能とか)、日常生活は時々支障があるに止まるが、意欲低下等により仕事には行けない場合。 |
第12級 |
通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、多少の障害を残すもの
例)日生活において頻繁に支障が生じる場合、日常生活は出来るが意欲低下等により仕事には行けない場合、就労にはかなりの配慮が必要な場合。 |
第14級 |
通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、軽微な障害を残すもの
例)概ね日常生活も就労も可能であるが、日常生活において時々支障が生じ、就労に際しては多少の配慮が必要な場合 |
※ 第7級以上(但し、労災のみ)
第9級を超える就労制限が認められる場合
このようなケースは、持続的な人格変化が認められ、およそ治癒の見込みがなく生涯にわたり療養が必要とされる場合であって、ほとんど症例がない(非常に稀なケース)と説明されています。
前述の(1)の8項目の具体的内容は以下のとおりです。
1 身辺日常生活
入浴や更衣等、清潔保持を適切にすることが出来るか?規則的に十分な食事をすることが出来るか。
2 仕事・生活に積極性・関心を持つこと
仕事の内容、職場での生活や働くことそのもの、世の中の出来事、テレビ、娯楽等の日常生活等に対する意欲や関心があるか否か。
3 通勤・勤務時間の厳守
規則的な通勤や出勤時間等約束時間の遵守が可能かどうか。
4 普通に作業を持続すること
就業規則に則った就労が可能か。普通の集中力・持続力を持って業務を遂行出来るか。
5 他人との意思伝達
職場において上司・同僚等に対して発言を自主的に出来るか?他人とのコミュニケーションが適切に出来るか。
6 対人関係・協調性
職場において上司・同僚と円滑な共同作業、社会的な行動が出来るか。
7 身辺の安全保持、危機の回避
職場における危険等から適切に身を守れるか。
8 困難・失敗への対応
職場において新たな業務上のストレスを受けた時、ひどく緊張したり、混乱することなく対処出来るか。どの程度適切に対応が出来るのか。
そして、以上の認定の資料として、労災の場合は主治医に対し、労災様式3の照会をします。
※ 但し、主治医に対する照会は労災のみであって自賠はしません。しかし、後遺障害認定の参考資料として自賠に提出しておくは極めて重要です。