第2 高位頸髄(脊髄)損傷の障害内容の深刻性
第4頚髄以上の損傷では、横隔膜麻痺がおこり通常は死に至りますが、奇跡的に一命をとりとめたとしても四肢麻痺で寝たきり状態となります。
残された身体機能レベルは、ほとんどなく、感覚機能、運動機能とも完全麻痺となります。
首から下は、自分の意思で動かすことは一切できません。
- 首から下の触覚(何かが触れている)
- 痛覚(痛い)
- 温度覚(熱い、冷たい)
- 振動覚(振動を感じる)
- 位置覚(手足がどこにある)
など、すべての知覚も完全に失います。
褥瘡(床ずれ)ができかけていても、気持ち悪いとか痛いという感覚がありません。
誤って介護器具などで怪我をしても痛いと感じません。
熱湯がかかって火傷をしても分かりません。
排尿・排便機能も失っているので、尿や便が溜まったり、漏れたりしても介護者に伝えることができません。
体温調整機能も失っており、寒暖にあわせて発汗したり血流を調節したりして体温を一定に維持することもできません。夏場はすぐに体温が37度台後半まで上昇してしまいます。
呼吸筋麻痺が残存しているため、就寝前に一定の時間人工呼吸器(バイパップ)の装着を要することもあるでしょう。
睡眠中に無呼吸状態が頻発することもあり、起床時まで装着することもあります。