第1 はじめに
交通事故で頸髄(脊髄)を損傷され、一命はとりとめたものの四肢麻痺で寝たきり状態となる交通事故の被害者の方がいらっしゃいます。退院後ご自宅で療養される場合は、ご家族や看護士による介護が必要となります。そのような在宅高位頸髄(脊髄)損傷被害者のご家族による在宅介護は限界状態にある、と言われて久しいものがあります。
在宅介護者の過酷な介護の実態について、裁判所はどの程度まで認識し、賠償論に反映しているのでしょうか。
本稿では、その点についての検証をし、主として裁判所に向けての提言を試みたいと思います。